医療費控除、10万円超えてないと諦めてない?子育て世帯の盲点
📅 この記事は 2026年6月時点の情報をもとにしています(最終更新日に連動)
📖 もくじ▼
子どもが生まれると、病院代・薬代・通院交通費など医療費がかさみますよね。でも「レシートを集めると国が一部返金してくれる制度」が医療費控除です。年間医療費が「10万円」または「総所得金額等の5%」のいずれか低い方を超えた年は、確定申告(会社員でも自分で手続きして還付を受ける制度)で数千〜数万円が手元に戻ってくることがあります。今回はその仕組みと手順を丁寧に解説します。
🔑 タイトルの「10万円超えてない」読者へ最初に伝えたい救済策
- 所得が少ない世帯ほど足切り額(=この金額を超えた分だけが控除対象になる最低ライン)が下がる(例: 所得180万→足切り9万円・所得100万→足切り5万円)
- 家族全員分を合算可能(夫・妻・子の医療費すべて合算)
- 5年間さかのぼれる(過去の出産年・大病年も今から申告可)
「うちは10万円超えてないし…」と諦める前に、本記事の所得別早見表と家族合算・5年遡及を必ずチェックしてください。
📌 ざっくり要約
- 医療費控除=年間医療費が「10万円 または 総所得金額等の5%」のいずれか低い方を超えると還付される制度
- 家族全員分の領収書を合算OK。会社員でも自分での申告が必要(年末調整では処理不可)
- e-Taxなら自宅から申告でき、1〜2ヶ月で還付金が振り込まれる
- 還付申告は5年間さかのぼれるので、過去分も確認する価値あり
📖 この記事の読み方(長めです:全6章・読了 約8分)
- 🏃 急いでいる人(約3分):上のざっくり要約 →「計算方法と還付額の目安は?」で自分の戻り額→「確定申告の手順は?e-Taxで5ステップ」の順でOK
- 🙋 これは対象?と迷っている人→「どんな費用が対象になる?ならない?」/市販薬をよく買う人→「セルフメディケーション税制との違いは?」
- 🔍 仕組みから理解したい人(約8分):最初から順に。仕組み→対象→計算→手順→セルフメディケーションの順です
そもそも医療費控除って何?なぜお金が戻るの?
スーパーのポイントカードのようなもので、年間たくさんお金を使った証明(レシート)を集めて申告すると、税務署が「払いすぎた税金を返しますよ」と還付してくれる仕組みです。

「会社員なのに確定申告って必要なの?」って思いますよね。医療費控除は会社の年末調整では処理できないので、自分で申告する必要があります。でも手順はそれほど難しくないですよ。
医療費控除(いりょうひこうじょ)とは、1年間(1月〜12月)に支払った医療費の合計が「10万円」または「総所得金額等の5%」のいずれか低い方を超えた場合に、その超えた分を所得から差し引いて税金を減らせる制度です。
💡 用語ミニ解説:「総所得金額等」とは
「年収」ではなく、給与所得控除や各種所得控除を引いた後の「所得」のこと。給与年収400万円の場合、給与所得控除約124万円を引いた所得276万円が「総所得金額等」です(他に副業所得等がない場合)。年収と所得は別物なので、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄を見てください。
世帯年収別「医療費控除の足切り額」早見表
「うちはいくらから対象?」を一発で判定できる早見表を作りました。
| 給与年収 (夫のみ) | 給与所得控除後の所得 (=総所得金額等の目安) | 5%基準 (所得×5%) | 適用される 足切り額 |
|---|---|---|---|
| 200万円 | 132万円 | 6.6万円 | 6.6万円(5%基準) |
| 300万円 | 202万円 | 10.1万円 | 10万円(定額) |
| 400万円 | 276万円 | 13.8万円 | 10万円(定額) |
| 500万円 | 356万円 | 17.8万円 | 10万円(定額) |
| 600万円 | 436万円 | 21.8万円 | 10万円(定額) |
💡 所得200万円未満世帯=年収約297万円未満が「5%基準で足切り下がる」対象。所得300万未満なら10万円定額基準(一般的にこちらが多い)。共働きで所得が低い方の名義で申告すると足切りが下がる場合あり。
たとえば年収500万円世帯で医療費が15万円なら、超過分の5万円が控除対象。子育て・片働き世帯は課税所得が低く所得税率5%が多いので、所得税2,500円+住民税5,000円(翌年度の住民税が軽減)で合計約7,500円の負担減になります。
どんな費用が対象になる?ならない?
「全部の医療費が対象になると思っていたら、ならないものがあった」という落とし穴が多いのがこの制度の注意点です。レシートを集める前に対象かどうか確認しましょう。

「予防接種って対象になるの?」「市販薬は?」って毎年迷います。うちは子どもが2人いるので結構な額になるんですよね。
注目:対象・非対象をきちんと把握してから領収書を仕分けすると申告がスムーズになります。
| 対象になる費用 | 対象にならない費用 |
|---|---|
| 病院・歯科の診療費(治療目的) | 健康診断・人間ドック(※異常が見つかり治療に移行した場合は対象) |
| 処方薬・市販薬(治療目的) | 予防接種(インフルエンザ等の純粋な予防目的) |
| 入院費・差額ベッド代(医師指示の場合) | 美容整形・歯列矯正(大人の純粋な審美目的) |
| 出産費用(保険外含む)・妊婦健診 | サプリメント・ビタミン剤 |
| 通院交通費(電車・バス・タクシー※) | 自家用車のガソリン代・駐車場代 |
| 介護費用(一部) | 眼鏡・コンタクト(一般的な視力矯正目的) |
※タクシー代は「病状や交通手段の状況から公共交通機関の利用が困難」と認められる場合のみ対象(陣痛時など)。
子どもの歯列矯正は「噛み合わせ等の医学的必要性がある場合」は対象になります。歯科医師に「医療費控除の対象として診断書を出してもらえますか?」と確認するのがおすすめです。
💡 子どもの矯正は費用も気になるところ。相場と控除の使い方は子どもの歯科矯正の費用と医療費控除の解説でまとめています。
💡 通院交通費の記録方法:電車・バス代は領収書が出ないことが多いので、「通院日・受診者名・行先病院名・利用区間・運賃」をスマホメモかExcelに記録するだけでOK(領収書不要)。家族の付き添い交通費も「症状的に1人での通院困難」なら対象。
計算方法と還付額の目安は?
「実際いくら戻ってくるの?」が最も気になるところ。計算式はシンプルです。

計算式を覚えれば「今年申告すべきかどうか」が自分で判断できます!還付額の見込みを先に計算してみましょう。
還付額の計算式:
【控除額】 = 医療費合計 − 保険金等で補填された額 − 「10万円 または 総所得金額等×5% のいずれか低い方」(上限200万円)
【還付・軽減額】 = 控除額 × 所得税率(確定申告で還付)+ 控除額 × 住民税10%(翌年度の住民税が減額)
注目:保険金・高額療養費・出産育児一時金で補填された分は医療費から差し引く必要があります。
| 世帯年収 | 足切り額 | 年間医療費 | 控除対象額 | 還付・軽減額目安(所得税5%+住民税10%=15%) |
|---|---|---|---|---|
| 200万円 | 6.6万円 | 12万円 | 5.4万円 | 約8,100円 |
| 400万円 | 10万円 | 12万円 | 2万円 | 約3,000円 |
| 400万円 | 10万円 | 20万円 | 10万円 | 約15,000円 |
| 500万円 | 10万円 | 30万円 | 20万円 | 約30,000円 |
※所得税5%+住民税10%で試算(子育て・片働き世帯の多くが該当)。所得税分は確定申告で還付、住民税分は翌年度の住民税が軽減されます。課税所得が非常に低い世帯は所得税額が小さく、軽減は住民税が中心になります。
出産年の試算例(健保補助・出産育児一時金を考慮)
素人ママの最大関心事「出産年は医療費控除使えるの?」に答えます。
📋 ケース:世帯年収450万円・正常分娩・通常入院
- 出産・妊婦健診費用:60万円
- 出産育児一時金(健保補助):-50万円
- 正味の自己負担:10万円
- 同年の家族(子)の風邪・予防接種以外の医療費:5万円
- 正しい計算:出産関連で(60万-50万)=10万 + 子の医療費5万 = 15万円が控除対象の医療費合計
- 控除額 = 15万円 - 10万円(足切り) = 5万円
- 還付・軽減額 = 5万円 × 15%(所得税5%+住民税10%) = 約7,500円(所得税2,500円は還付+住民税5,000円は翌年度軽減)
※出産育児一時金は「出産費用」からのみ差し引くため、出産以外の医療費を侵食しないのがポイント。
確定申告の手順は?e-Taxで5ステップ

e-Tax(インターネットで税務署に申告できるシステム)を使えば、家から出ずに申告できます。僕も去年初めてやってみましたが、1時間ほどで完了しましたよ。
- 医療費の領収書を集める:1月〜12月分。家族全員分をまとめてOK。レシートを捨ててしまった場合は健保組合から届く「医療費通知書(医療費のお知らせ)」で代替可(通知書1枚で家族分まとめて記載)
- 医療費控除の明細書を作成:国税庁の確定申告書等作成コーナーで自動計算
- e-Tax送信方式を選ぶ:①マイナンバーカード方式(スマホ or PC+ICカードリーダー)/②ID・パスワード方式(税務署で発行・カード不要)。初めてならスマホ+マイナで完結が最も楽
- 国税庁サイトで申告書を作成・送信:源泉徴収票の数字を入力+医療費控除明細を入力→送信
- 還付金を待つ:申告から約1〜2ヶ月で口座に振り込まれる
💡 初心者はスマホe-Tax一択:マイナポータルアプリ + 国税庁の確定申告書等作成コーナー(スマホ版)で完結。ICカードリーダー不要で、源泉徴収票はカメラ撮影で自動読み取りも可能。1〜2時間で初回申告が終わります。
💡 ふるさと納税との併用は問題なしだが要注意:医療費控除を受ける年は、ふるさと納税のワンストップ特例制度が使えなくなる(自治体への申請が無効化)。ふるさと納税分も確定申告に合算して提出する必要があります(寄附金受領証明書を一緒に添付)。
⚠️ 【超重要】還付申告は5年間さかのぼれます
申告期限は翌年2月16日〜3月15日ですが、還付申告のみの場合は1月1日から5年間いつでも申告可能です。
- 2026年に申告できる過去分:2021年〜2025年の医療費
- 過去の出産年・大病年・歯列矯正年などを思い出したら今すぐ申告。数万円戻ってくる可能性
- 家族の医療費通知書は健保組合に依頼すれば過去分も再発行可能(組合により可否あり)
セルフメディケーション税制との違いは?どちらを選ぶべき?

「セルフメディケーション税制って聞いたことあるけど、通常の医療費控除と何が違うの?」って思いますよね。両方同時に使うことはできないので、有利な方を選ぶ必要があります。
セルフメディケーション税制(スイッチOTC薬控除)とは、ドラッグストアで買える特定の市販薬(スイッチOTC医薬品)の購入費が年間1万2,000円を超えた場合に、超えた分を控除できる制度です。対象商品は「セルフメディケーション税制対象マーク(青または緑の共通識別マーク)」がパッケージに記載されている市販薬のみ。ロキソニンS・パブロン・アレジオン等の一部が対象です(レシートにも対象商品マークあり)。
注目:通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用不可。どちらか有利な方を選びましょう。
| 比較項目 | 通常の医療費控除 | セルフメディケーション税制 |
|---|---|---|
| 控除の足切り額 | 10万円(所得200万未満は5%) | 1万2,000円 |
| 対象 | 幅広い医療費全般 | 特定のスイッチOTC薬のみ |
| 最大控除額 | 200万円 | 8万8,000円 |
| おすすめの人 | 入院・出産など大きな医療費がある人 | 病院にあまり行かないが市販薬をよく買う人 |
👉 どちらが得か具体的に迷ったら医療費控除とセルフメディケーション税制はどっちを選ぶ?併用不可の選び方で、年間医療費の目安から選び方を整理しています。
💡 医療費控除のある年は、ふるさと納税のワンストップ特例は使えません(寄付分も確定申告に合算が必要)。育休中・共働きでも損しない上限と注意点は育休中・共働きでも損しない子育て世帯のふるさと納税の上限と注意点で確認できます。
まとめ
📝 この記事の要点

領収書を集めて申告するだけで数千〜数万円が戻ってくるなら、やらない理由がないですよね。うちは子ども2人いるので毎年医療費がそれなりにかかります。面倒くさいと思っていた確定申告も、e-Taxを使えば1時間ほどで終わりました。ぜひ挑戦してみてください!
- 医療費控除は「年間医療費10万円超」で確定申告することで税金が還付される制度
- 対象費用と非対象費用をきちんと把握して領収書を管理することが重要
- e-Taxなら自宅から申告でき、1〜2ヶ月で還付金が振り込まれる
- セルフメディケーション税制と通常の医療費控除は併用不可。有利な方を選ぼう
- 還付申告は5年間遡れるので、過去分も確認してみる価値あり
- 医療費控除:国税庁タックスアンサー No.1120 医療費を支払ったとき
- セルフメディケーション税制:国税庁タックスアンサー No.1129
- 確定申告・e-Tax:国税電子申告・納税システム(e-Tax)
- 医療費控除の対象費用:国税庁タックスアンサー No.1122
- セルフメディケーション税制:厚生労働省「セルフメディケーション税制」