【現金は20年で実質4割減】「投資はリスク」より怖い『投資しないリスク』を6年投資家が解説
📅 この記事は 2026年6月時点の情報をもとにしています(最終更新日に連動)
📖 もくじ▼

連載第5弾。今日は「投資をしないリスク」を真正面から書きます。挑発的なタイトルですが、これは脅しじゃなく、6年やってきて確信した数字に基づく事実です。
- 「投資はリスク」より「投資しないリスク」のほうが今の時代は深刻。年3%インフレで現金100万円は20年後に約55万円相当まで購買力が目減りする
- 投資の元本割れリスクは「短期では大きい・長期では収束」する。一方インフレによる現金の目減りは長期になるほど確実に進む不可逆リスク
- 解決策は新NISAで年3〜5%の長期分散投資。月1万円×20年でも元本240万→約330〜400万に。投資は「攻め」ではなく「守り」の側に変わった
「投資はリスクがあるから怖い」
6年前の僕も、そう思っていました。
その気持ち、よく分かります。「減るかもしれないお金」に手を出すのは誰だって怖い。この記事は「今すぐ投資しろ」と急かすものではありません。「貯金しておけば安全」が今も本当にそうなのかを、まず一緒に確かめてみるだけです。読み終えて「やっぱり今はやらない」でも全然かまいません。
銀行預金が安全。投資はギャンブル。
そんな世界観で生きていました。
でも、今は違います。
インフレで価値が目減りする現金を抱え続けることこそ、最大のリスクだった。
数字で見れば、もう答えは出ている。
今日はその話を、誤解されない形で正面から書きます。
1. 「投資はリスク」が常識だった時代
📚 専門用語で迷ったら:マネー用語辞典(投資・投資信託)でまとめて確認できます(投資信託・オルカン・S&P500・信託報酬・複利など)。
20世紀の日本では、「投資はリスク」が常識でした。
理由は2つあります。
① 高金利時代(〜1990年代)
- 銀行預金の金利が年5〜6%もあった
- 100万円預けるだけで、1年で5〜6万円増える
- 「わざわざリスク取って投資する意味あるの?」という時代
② 長いデフレ時代(1990年代〜2010年代)
- 物価が上がらない・むしろ下がる
- 現金の価値が相対的に上がる
- 「現金最強」が30年続いた
この30年で「投資はリスク」「貯金が安全」が骨の髄まで染み込んだ世代が、今の日本の中心層。
僕(36歳)もその影響を受けて育った一人です。
2. 2020年代、ゲームのルールが変わった
ところが、ここ数年で前提条件が大きく変わった。
① 銀行金利は実質ゼロ(最近少し上昇中)
- メガバンク普通預金:年0.2〜0.3%(2026年時点・大手銀行は2026年2月に0.3%へ)
- 100万円預けても、1年で約2,000〜3,000円
- かつての高金利時代(年5〜6%)の数十分の1
② インフレ時代に突入
- 2024年以降、日本も本格的なインフレ
- 卵・電気・外食・教育費——軒並み値上がり
- 物価上昇率:年2〜3%が新しい常識
③ 国も投資を後押し
- 2024年:新NISA(非課税枠の大幅拡大)スタート
- 「貯蓄から投資へ」を国レベルで推進
💡 NISAって?「収穫物に税金がかからない特別な畑」のような制度で、投資の利益にかかる約20%の税金がまるごと非課税(※「非課税」=本来なら利益から差し引かれる税金が0円になる、という意味です)。詳しくは 新NISA超入門ガイド で図解しています。
つまり、「貯金=安全」というルールが通用しない時代になった。

「親世代の常識が通用しない」って、世代間のお金の話で一番ややこしい部分。親が「投資なんて危ない」と言うのは、彼らの時代では正しかった。今は違う、ってだけです。
📊 グラフの読み方:100万円を現金で20年放置した場合、額面は変わらないが購買力は約55万円相当に目減り。同じ100万円を年率3%で運用すれば名目181万円・購買力ベースで100万円維持。「現金=安全」は20年スパンでは通用しません。
3. 数字で見る「投資をしないリスク」
具体的な数字で見てみましょう。
ケース:100万円を20年間、現金で持ち続けた場合
仮に年3%のインフレが続くと(参考:インフレを正しく恐れろ):
| 経過年 | 名目価値 | 実質価値(購買力) |
|---|---|---|
| 0年 | 100万円 | 100万円 |
| 5年 | 100万円 | 約86万円 |
| 10年 | 100万円 | 約74万円 |
| 20年 | 100万円 | 約55万円 |
| 30年 | 100万円 | 約41万円 |
20年で購買力が約半分に。30年で約4割。
つまり、「貯金しているだけ」で、毎年確実に実質的にお金を失っている状態。
💡 なぜ「寝かせるだけ」で損なのか:その正体は、運用できたはずの利益を諦めている「機会費用」と「お金の時間価値」です。今の1万円が将来より価値が高い理由(機会費用と時間価値)で図解しています。
これが「投資をしないリスク」の正体です。
一方、株式インデックスで運用した場合
過去30年のS&P500は年率平均約9〜10%(過去実績、将来保証なし)。
年5%(保守的に見積もっても)で運用できれば、20年で約2.65倍。
| 20年後 | 現金 | 株式インデックス(年5%想定) |
|---|---|---|
| 名目 | 100万円 | 約265万円 |
| 実質購買力 | 約55万円 | 約146万円 |
実質購買力で約2.6倍の差が生まれる計算。
4. 「投資のリスク」の正体
ここで「投資のリスク」も冷静に見ましょう。
短期リスク(1〜5年)
- 市場暴落で含み損が出る可能性
- 例:2024年8月5日の日経大暴落(詳細)
- → 短期で必要なお金は投資に回さないことで対処
長期リスク(10年以上)
- 過去のデータでは、世界株式インデックスを15年以上保有すれば、過去にマイナスリターンになった事例はほぼない(参考:金融庁データ)
- 短期では波があっても、長期で見れば右肩上がり
完全にゼロにはならないリスク
- 「絶対」はない(戦争、世界恐慌など)
- だからこそ生活防衛資金は別途現金で確保が必須
「投資のリスク」は短期では大きく、長期では小さくなる。「投資をしないリスク」は短期では見えにくく、長期で確実に大きくなる。この時間軸の違いが鍵です。
5. 「リスクの取り方」を学ぶ時代
「投資をする」も「投資をしない」も、どちらもリスクを取る選択。
リスクゼロの選択肢は存在しない。
だからこそ、これからの時代は:
- どちらのリスクが大きいかを理解する
- 自分にとって受け入れられるリスクの形を選ぶ
- リスクを管理する仕組み(積立・分散・長期)を持つ
これが「貯金 vs 投資」じゃなく、「どうリスクと付き合うか」の選択になる。
我が家のリスク管理:
- 生活防衛資金:1年分の生活費(約240万円)を現金確保
- 余剰資金:新NISAでオルカン月3万+成長枠インデックス月3万
- iDeCo:月5,000円(節税効果のため最低額)
- 高配当株:特定口座で少額(趣味枠)

「投資しないリスクを取り続ける」って、無自覚な選択になりがち。一度知ったら、もう「貯金100%」には戻れません。
💡 あわせて読みたい:インフレの仕組み自体は インフレを正しく恐れろ で図解しています。
まとめ:リスクを取らない選択は存在しない
📝 この記事の要点
- 20世紀は「投資はリスク・貯金が安全」が正しかった(高金利+デフレ)
- 2020年代はゲームのルールが変わった(低金利+インフレ+NISA)
- 現金100万円は年3%インフレ20年で約55万円相当に目減り
- 「投資をしないリスク」は短期では見えにくく、長期で確実に大きくなる
- これからは「リスクの取り方」を選ぶ時代——リスクゼロは存在しない
「投資はリスク」はもう古い。本当のリスクは、何もせずに価値を失い続けること。
「投資をしろ」と命令しているわけじゃありません。
「投資しないリスクも存在する」ことを知った上で、自分で選んでほしいということです。
知った上で「やらない」を選ぶならOK。
でも、知らないまま「やらない」を選び続けるのは、危険な時代になりました。
この記事が、リスクの全体像を考えるきっかけになれば嬉しいです。
👣 今日できる小さな一歩(どれか1つでOK):
- 銀行に置きっぱなしの現金がいくらあるか、通帳・アプリで見てみる
- 「投資」と「生活防衛資金(当面使うお金)」を頭の中で分けてみる
- もし一歩進めるなら、まずは新NISA超入門ガイドを読むだけでもOK
※ いきなり口座開設やまとまった入金をする必要はありません。「知る」だけでも立派な一歩です。

連載第5弾でした。次回(5/16)は「月3万円、新NISAを始めろ。6年続けて家計と心が変わった」。少額から続けることで起きた家計と心の変化を書きます。
「投資しないリスク」を減らす第一歩はNISA口座
現金だけで持つと、インフレでじわじわ価値が目減りするリスクがあります。その対策の入口が、非課税で運用できるNISA。証券会社は普段使う経済圏で選べます。
- 楽天・ドコモ・三井住友…経済圏別におすすめを比較
- 口座開設は最短5分・スマホで完結
- まずは少額から、目減り対策を
- 消費者物価指数(CPI):総務省統計局
- 日銀の金融政策・インフレ目標:日本銀行
- 新NISA制度:金融庁「NISA特設ウェブサイト」
- 長期・積立・分散投資の効果:金融庁「2024年からのNISA早わかりガイドブック」(PDF)
- S&P 500:S&P Dow Jones Indices公式